香港でビジネスを始めるなら、会社設立は欠かせません。そして、会社設立において必須となるのが「certificate of incorporation」と呼ばれる書類です。通称CIとも略されるこの書類は、香港政府が発行する会社設立証明書であり、いわば会社の出生証明書のようなものです。

このcertificate of incorporationは、単なる書類ではなく、会社名が正式に登録され、法的に存在を認められたことを証明する書類であり、香港法人設立の完了を意味します。また、certificate of incorporationには、会社名、登録番号、設立日、登記住所、役員情報などが記載されており、これらの情報は、香港政府の公式記録として保持され、誰でも閲覧することができます。つまり、certificate of incorporationは会社の信頼性を示す重要な書類であり、取引先や投資家への提示を求められることも少なくありません。

その他にも、銀行口座開設、ビザ申請、各種許認可取得など、香港でのビジネス活動において様々な場面で必要となり、certificate of incorporationがなければ、香港で本格的にビジネスを展開することはできないと言っても過言ではありません。

では、このcertificate of incorporationを取得するにはどうすれば良いのでしょうか? certificate of incorporationの取得は香港会社設立代行業者に依頼するのが一般的ですが、ここでは、ご自身で取得する場合の手順をご紹介します。

まず、香港会社登記所(Companies Registry)に会社設立申請書を提出します。この申請書には、会社名、取締役、資本金など、会社設立に必須となる基本情報が記載されます。申請書は、オンラインと書面の2種類があり、それぞれ必要書類や手数料が異なります。

オンライン申請は、香港会社登記所のe-Services Portalを使用して行います。必要書類をアップロードし、オンライン決済で手数料を支払えば、申請完了となります。審査にかかる時間は短く、通常1時間程度で完了します。

書面申請は、必要書類を香港会社登記局へ郵送または窓口で提出する方法です。書類はすべて原本または認証謄本である必要があります。手数料はオンライン申請よりも高く、審査完了まで数週間程度かかる場合もあります。

会社設立申請書が提出されると、香港会社登記所が書類を審査します。審査基準は厳格で、書類に不備があると修正を求められます。修正が完了し、問題がなければ、設立許可証が発行されます。

設立許可証を受け取り、設立登記手数料を支払います。この手数料は、商業登記証の有効期間によって異なります。1年間有効と3年間有効の2種類があり、それぞれ異なる手数料が設定されています。

設立登記手数料を支払った後、晴れてCertificate of Incorporation(CI)が発行されます。certificate of incorporationには、会社名、登録番号、設立日などが記載されており、銀行口座開設、オフィス賃貸契約締結、ビザ申請など、様々な場面で必要となりますので、大切に保管しましょう。

certificate of incorporationの有効期限はありません。一度取得すれば、会社が解散・清算されるまで永久的に使用できます。

また、certificate of incorporationを紛失してしまった場合でも、慌てる必要はありません。香港会社登記所へ再発行申請書を提出、必要書類を提出、手数料を支払う、という手順で、新しいCIを取得することができます。再発行には手数料がかかりますが、比較的容易な手続きです。

このように、certificate of incorporationは香港会社設立において非常に重要な書類です。申請には複雑な手続きが伴いますので、必要に応じて香港会社設立代行業者などの専門家に相談し、スムーズに進めることをおすすめします。香港でビジネスを始めることを検討している方は、ぜひcertificate of incorporationについて理解を深め、取得方法を把握しておきましょう。