香港の会社を購入することが、相続税の大幅な削減に繋がるという話を耳にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。なぜ、香港の会社を購入することで相続税を減らすことができるのか、今回はその理由について詳しくご紹介します。
日本の相続税は、相続が発生した際に、相続人が被相続人から受け継いだ財産に対して課される税金です。具体的には、相続財産の評価額から基礎控除額や配偶者控除額などを差し引いた課税価格に対して、相続税率を乗じて計算され、相続財産には、不動産、株式、預金など、あらゆる財産が含まれます。日本国内に置かれたこれらの財産は、原則として日本の相続税の対象になります。
一方、香港には相続税という制度がありません。この点が、香港の会社購入が相続税対策として注目される大きな理由の一つです。もし、日本の相続税対策として、香港に会社を設立し、その会社名義で資産を保有すれば、日本の相続税の対象から外れる可能性が出てきます。
香港での会社購入が相続税対策になる理由は、以下の点が挙げられます。
まず、香港は、世界でも有数の低税率地域として知られており、法人税率が非常に低いことが大きな特徴です。そのため、香港に会社を設立し、日本の資産をその会社に移転することで、日本の相続税の課税対象となる資産額を減らすことができます。例えば、日本に不動産などの実物資産があり、それを香港の会社に移転した場合、日本の相続税の評価額は、時価ではなく、簿価で評価される可能性があります。簿価とは、会社の帳簿に記載されている資産の金額であり、時価よりも低い場合が多いため、相続税の評価額を大幅に抑えることができる可能性があります。
次に、香港は、金融センターとして発展しており、様々な金融商品やサービスが利用可能です。そのため、香港の会社を通じて、海外への資産移転や資産の保全を行うことも容易です。例えば、香港の会社名義で海外の不動産を購入したり、海外の金融機関に口座を開設したりすることが可能です。これにより、資産の分散化を図り、リスクを軽減することができます。
さらに、香港は、法整備が進んでおり、国際的なビジネス環境が整っています。そのため、香港の会社を運営するにあたって、様々なサポートを受けることができます。例えば、会計や税務に関するアドバイスを受けることができる専門家や、法的な手続きを代行してくれるサービスなどもありますので、会社の購入や相続税対策に関してもアドバイスを受けることが可能です。
加えて、香港の既存の会社を購入する際の費用は、新規の会社設立に比べて、場合によっては割安になることがあります。直接的な相続税対策の理由ではありませんが、相続税対策をする上で香港での会社設立をご検討であれば、費用を抑えることができます。
しかし、香港の会社購入による相続税対策には、いくつか注意しなければならない点もあります。
一つ目は、税務当局から贈与とみなされてしまう可能性があるという点です。日本の税法では、生前贈与とみなされる場合には、贈与税が課されることがあります。そのため、香港の会社への資産移転は、税理士など専門家と相談しながら慎重に行う必要があります。
二つ目は、為替リスクがあるという点です。香港ドルと日本円のレートは変動するため、資産の評価額が変動する可能性があります。
三つ目は、会社設立後の維持費用がかかるという点です。香港の会社を維持するためには、毎年の登記費用や会計監査費用などが発生しますので、会社購入後も、継続的な費用負担を考慮しなければなりません。
これらの注意点をふまえ、香港の会社を購入することで、相続税を大幅に削減できる可能性はありますが、必ずしも全てのケースにおいて効果が期待できるわけではありません。相続税対策は、個人の資産状況や家族構成など、様々な要因によって最適な方法が異なりますので注意しておきましょう。
相続税対策は、早めの準備が大切です。相続が発生してから慌てて対策を講じても、間に合わない場合があり、香港の会社を購入する際には、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進める必要があります。相続税対策は、一生に一度の大きな決断です。ご自身の将来のために、専門家にご相談いただき、最適な方法を見つけていきましょう。